もし、空港が売られているとしたら、どのくらいの金額で売られるのでしょうか?
2014年、関西空港と伊丹空港がセットで売りに出されました。
もう少し正確に表現すると「2016年4月~2060年3月までの44年間に渡って
関西空港と伊丹空港を自由に運営する権利」の入札が行われることが発表されたのです。
空港の運営権のことをコンセッション(concession)と言います。
空港そのものを売却するのではなく、国や地方自治体、空港会社などの
空港の所有者から空港施設を借りて、運営を行う権利です。
空港自体の所有権は所有者にあるまま、運営だけを代理で行う権利です。
関西空港も伊丹空港も関西エリアの拠点として欠かすことのできない重要な空港ですが
実は関西空港の経営は最初から順調だったわけではありません。
関西空港は開港したものの、経営難に苦しんでいました。
当時関西空港は就航便数が増えず、利用者も少なく、更に沖合5kmの海上に作った空港だったため
莫大な建設費用の返済で、思うように順調な経営ができていなかったのです。
この状況に困ったのが関西空港の大株主である「国」です。
そこで思いついたのが海外の空港のように空港経営を空港オペレーターに売却し
その売却代金で建設費の借金を返済し、空港を活性化させようという案です。
とは言え、売りに出しても買い手がつかなければ計画は上手く行きません。
状況の良くない関西空港だけでは買い手が付かない心配があるため
空港運営が順調な伊丹空港と抱き合わせで売却することで買い手を集めることになりました。
2013年、この計画を実行するためのいわゆる、「空港民営化法」が成立します。
そして関西空港と伊丹空港は無事に売却されました。
この金額はなんと2.2兆円です。
落札したのは日本のオリックスとフランスの空港オペレーター会社ヴァンシ・エアポートのコンソーシアム‘(企業連合)です。
もちろん一括で払える金額ではありません。
毎年490億円×44年の分割払いです。
関西空港と伊丹空港が売却されるとなった当初は多くの企業が入札を検討しました。
しかし実際に売りに出された金額が高額すると実際に入札を行ったのは
上記のオリックス・ヴァンシ連合のみという結果でした。
ちなみに2.2兆円がどのくらいの規模のお金かというと、東京オリンピックの開催費用が約2兆円というのと
比較してみると金額に驚くのではないでしょうか。
ちなみに関西空港を売却するために作られた空港民営化法ですが
先駆けて売却されたのは関西空港ではなく仙台空港でした。
現在は関空・伊丹以外にも高松、福岡、新千歳……と売却が決定しており
その他空港についても空港は売却の流れがきているようです。