飛行機の運航は気候に大きく影響を受けます。
これは自動車や鉄道も同じではありますが、空を飛ぶ飛行機は
より強く気候の影響を受けるのです。
台風による欠航はよくあるケースでニュースにもなりますが、
それ以外にも出発地では問題なく離陸できても、到着地の気候が安定しないことで
近くの別の空港に着陸したり、最悪の場合は出発地に戻ることもあります。
離陸より着陸のほうがリスクの高い飛行機にとって、一番厄介なのが濃霧です。
濃霧が原因で着陸できないケースが圧倒的に多いのはあまり知られていません。
そんな濃霧が発生した際、飛行機はどのような対応をしているのか
どういう条件で迂回しているのかなど細かく紹介したいと思います。
■霧にはいくつかの種類がある
霧と言ってもいくつか種類があります。
内陸部で発生する「放射霧」と、沿岸部で発生する「海霧」などがあり
「放射霧」は気温差が大きい状態で発生するケースが多いですが、
気温が安定すれば回復傾向を見せます。
しかし「海霧」は条件次第で日中も発生するだけでなく、
沿岸部で発生した「海霧」が陸地に流れ込んでくるケースでは、
長時間にわたって霧が停滞してしまうという特徴を持っています。
これらの霧が発生し状態が深刻になると着陸できなくなりますが、
必ずしも着陸できないレベルまで発達するとは限りません。
着陸可能な霧というのは目視でどうにかなるというものではなく、
様々な機器を駆使して着陸することになります。
■濃霧発生時の対応は計器で行う
着陸地周辺で濃霧が発生している場合は、次の3つの機器を駆使します。
ローカライザー、グライドパス、マーカービーコンで
電波を発信することで飛行機を空港に誘導する働きがあります。
それではそれぞれの計器について見てみましょう。
■ローカライザー、グライドパス、マーカービーコン
ローカライザーは飛行機が着陸で滑走路に進入方向に対して、
滑走路の中央からのズレを指示します。
グライドパスは同じく進入角度を指示します。
マーカービーコンは滑走路の距離を示し、正しい進入位置を
提示してくれます。
それぞれ電波によって飛行機と滑走路との位置関係を把握し、
適格な情報をパイロットに知らせてくれます。
■フライトディレクターで情報をキャッチする
パイロットはローカライザー、グライドパス、マーカービーコンからの情報を
飛行機に搭載しているフライトディレクターなどの計器でキャッチします。
これらの情報をキャッチすることで、濃霧が発生している状態でも
安全に着陸ができるようになっています。
その計器を使っても着陸が困難と判断される状態になれば、
飛行機は近隣空港に着陸するか、広範囲に影響がある場合は
出発地に戻るという選択をしているのです。
濃霧が発生しても可能な限り着陸できるような仕組みが、
飛行機および空港には備わっていることがわかります。