空港は建築物としても素晴らしいものがあります。
その国を代表する「顔」とも言える建物ですから、
莫大な予算で著名な建築家に依頼し建造されます。
空港を訪れる際には飛行機に乗るためにさっと通りすぎるだけではなく
時間を作ってじっくり空港を見て回るのがおすすめです。
特におすすめの方法が天井を見るというものです。
空港は外観に特徴があっても、その全貌を見るのは難しいです。
そしていかに外観が個性的でも中に入ってしまえば、あまり大きな差はありません。
どの空港にも似たような空港会社のカウンターやチェックイン機があり
あまり違いを感じられないからです。
しかし天井や照明は違います。
空港によって、建築家によって個性があり、全然違う風景になっているのです。
例えばフランスのシャルル・ド・ゴール空港の天井はまさに芸術的です。
シャルル・ド・ゴール空港はポール・アンドリュー氏が設計しており
A~Gまでの7つのブロックで構成されています。
天井を見ながら空港内を歩き回ると、このブロックがそれぞれ個性的で
違う印象になっていることに気づくと思います。
ガラス張りになっている天井、カーブを描いて奥行きを感じる天井
コンクリート打ちっぱなしの天井、木材でできた温かみのある天井と様々です。
とても広大な空港なので一度に歩いて見て回るのは大変ですが
乗り継ぎまで時間がある時などにゆっくり見学してみると楽しめるでしょう。
国内では茨城空港の天井も特徴的です。
こちらの空港の天井は意図して作られたものではない、という点も注目のポイントでしょう。
茨城空港の天井にはもともと天井パネルが設置されていました。
しかし2011年3月11日に東日本大震災で天井パネルが落下してしまったのです。
開港からちょうど1年目のできごとです。
幸いけが人は出ませんでしたが、安全性を確保するため天井パネルは撤去されてしまいました。
このため現在も天井パネルはなく、空調ダクトや屋根裏がむき出しの状態になっています。
これが逆に格好いいのです。
むき出し状態のためすべて黒く塗装されているのですが、他の空港にはないスタイリッシュな感じがあります。
シンガポールのチャンギ空港の第3ターミナルの天井が面白いです。
チャンギ空港の第3ターミナルの天井には銀色の反射板が大量に取り付けられています。
この反射板は採光部の下あたりに設置されており、そこから差し込んだ光がキラキラと輝きます。
とても明るく開放的ながら、どこか宇宙船のような雰囲気でSFちっくです。
ミャンマーのヤンゴン空港の天井には民族模様が描かれていますし
台湾の桃園空港の天井は日本の合掌造りのような傾斜がついています。
他にもデンバー空港、新鮮空港、上海裏東空港など天井に特徴がある空港は多いです。