滑走路は飛行機が空港間を行き来するのに不可欠な設備です。
滑走路があるからトビ立てるし、着陸できるわけです。
そんな滑走路ですが、空港によって向きが異なっていますが、
適当に決めているわけではありません。
滑走路の向きを決めるには、しっかりとした条件があるのです。
そのあたり、空港によって滑走路の向きが異なる理由を見てみましょう。
■滑走路の向きは風向きで決まる
離着陸で一番重要なのは風向きです。
飛行機にとって一番いい風向きは「向かい風」なので、
滑走路の向きを決めるのも「向かい風」を基準に決められます。
つまりその空港が建設される土地で、もっともよく吹く風に
向かって飛行機が進入できるように作られています。
その基準となるのが、一年間で一番多い風向きで決められるのですが
その風のことを「卓越風」と呼んでいます。
卓越風がどの方向から吹いているかで、空港は建設されて
滑走路の向きも決まるのです。
■卓越風の多くは季節風で決まる
羽田空港の滑走路は、南北に垂直ではなく20度ほど傾いていて
南東・北西方向を向いた形で設計されています。
これは夏は南風、冬は来たか北西から吹く風が多く
それが卓越風として決定したからとなる。
夏は北方向から着陸し、冬は南方向から着陸することで
卓越風を向かい風として受けることができ、安定した着陸を可能としているのです。
つまり季節風=卓越風となるケースが多いと言えるでしょう。
■日本の空港は南北方向が多い
日本はほとんどの空港が南北方向に向かう形で設計されています。
地理的に南北に作れない場所であっても、可能な限り着陸に困難な状態にならない
方向で空港が作られています。
■卓越風だけを考慮すればいいわけではない
卓越風を考慮して空港は設計されますが、それだけでは完全ではありません。
卓越風はその向きから吹く風が年間を通して多いというだけのことで、
風は常に一定の方向から吹くわけではありません。
滑走路に対して横から吹く風も当然発生します。
そのような風に対応するために、複数の滑走路がある空港は
メインの南北方向に延びる滑走路に対して直角になるような
横風対策をしている滑走路を設けている空港が多いです。
メインに対して直角にしておくことで、卓越風ではない風向きの際に
その滑走路を使うことで西向き、東向きなどの風に対応しているのです。
■滑走路の向きも安全を考慮して作られている
このように滑走路の向きは、向かい風で着陸できることを前提にして作られており
飛行機を安全に運行するためには欠かせないものと言えます。
多くの空港の形が似通っているのは、そのためです。
滑走路が十字のようになっている理由も、卓越風とそれ以外の風に
原因があったことが分かったでしょう。