関西空港のコンセッションの裏で行われた駆け引き

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関西空港と伊丹空港の民営化が行われた際には、かなり裏で熾烈な駆け引きがあったようです。
最終的に入札したのはたった1社でしたが、入札の前には水面下でかなり大きな動きがあったのです。

関西空港は日本の空港の中でもかなり大きい国際空港です。
西日本を代表する空港であり、年間の利用者数は2000万人を超えます。
LCCが就航して格安で飛行機に乗れる用になってからは利用者も増え順調に好成績を残しています。
セットで売却された伊丹空港も関西空港と同レベルに利用者数の多い日本を代表する空港ですから
入札にあたって、一体いくらで売却されるのだろうか?と航空関係者からの注目はかなり集まっていました。

特に関西空港と伊丹空港のコンセッションに注目していたのは海外の空港オペレーターです。
以前の記事でも紹介したように、アメリカ以外の先進国では主要空港の民営化が進んでおり
それに伴い諸外国の空港の経営にも乗り出していました。
しかしそのすべての空港は新興国の空港ばかりです。

日本は経済的に安定しており、観光資源も多く、人口も安定しており、海外旅行へ出かける人も多いです。
そんな日本の人気の空港が売りに出されたのですから、有名な空港オペレーターが次々に来日し
このコンセッションの詳細を探っていました。

注目が高まったのは他の外的要素もありました。
実は同じ時期にアメリカも空港を民営化しようとする動きがあり、シカゴのミッドウェイ空港が売りに出されるという話がありました。
しかし結局そちらのコンセッションは中止となってしまい、その分日本の関空に注目が集まったのです。

入札を検討していた企業は様々な方面から関空と伊丹空港の資産価値について調べ尽くしていました。
今後どのくらい利用者数を増やすことができそうなのか?
もしも阪神大震災のような大災害が再び起こり、被災してしまった場合には誰が責任を取るのか?
また大災害が起こり、空港機能が停止してしまうような可能性はどのくらいなのか?
関西空港は埋め立てで作られていますから、買った土地からゴミが出てきた場合、処理費用はどこが負担するのか?
万が一、戦争が起きた場合、空港が民営化していたとしても軍事基地として国に協力しなければいけないのか?
そんなこと、まさか起こる?と一般に思ってしまうようなことまで、あらゆる可能性を調べ尽くしたのです。

特に多くの懸念が集まったのは関西空港が運営期間中に海に沈むようなことがあった場合です。
関西空港は開港からすでに3m以上沈下しています。
年間数センチずつ沈下しており、このため空港は下に建物ごと持ち上げられるようなジャッキアップのシステムが備えられています。

入札の募集要項が2.2兆円と発表されたとき、反応は様々でした。
特に日本の企業と海外の空港オペレーターの反応は真逆でした。
日本の企業の多くは高すぎると感じ、海外の空港オペレーターは十分利益を見込めるので安いと判断しました。
この入札では海外の空港オペレーターと日本の企業が組むことが条件でしたので
結局入札を行ったのは1社だけでしたが、海外の空港オペレーターからは日本企業の消極的な姿勢にがっかりした声も多かったそうです。