LCCも大手航空会社も安全基準に対しては同じ
LCCは運賃が安いため、本当に整備などがきちんと行われているのか?手抜きをしているのではないか?サービスは手抜きでも構わないけれど、安い分、安全性まで手抜きをされては困ると、不安に思う方も多いかもしれません。しかし、LCCも大手航空会社も安全基準に対しては同じです。安全基準は監督官庁が定めており、LCCだから安全基準がゆるくなっているということは、絶対にありえません。
パイロットの技術
LCCはパイロットの技術については心配する必要がありません。経営者もパイロットのモチベーションが下がれば事故に繋がると考えており給与は業界水準より上、もしくは平均となっています。パイロットの人件費までは削っていないのです。またベテランを多く採用することで、パイロットの技術力の高さは保証されています。更に、同じ機体を使って、効率よく折り返し運航をすることでパイロットも路線や空港になれやすく、習熟度も自然に高くなります。
使用する機体について
LCCでは単一機種に限定することで利益を上げています。このため使用される機体は新造機が多く、飛行機の新しさは大手航空会社よりも高くなっています。飛行機は開発されるたびに、技術は進歩して性能は高くなります。人間工学的設計思想が組み込まれ、安全度は高くなっています。各種警報装置も充実していますから、安全監視体制が向上しています。
このようにLCCへの不安要素はとても少ないです。アフリカや中東、東南アジアの一部など航空環境が整備されていない地域では多少不安が残りますが、一般的にビジネスモデルが確率した地域のLCCの危険性は高くありません。
航空機の安全基準について
航空機の安全基準については、航空法によって定められています。航空会社を経営しようとする場合には、事業を開始する前に国土交通大臣の認可も受けます。そして認可を受けるためには、事業計画を立てて申請書を国土交通大臣に提出し安全に運航できるかどうかなどの審査を受けなければいけません。運航規程や整備規定も国土交通大臣の許可を受けなくてはいけないと航空法第104条に定められており、勝手に変更することはできません。
日本に乗り入れている外国の航空機は日本の国土交通大臣の認可は受けていませんが国際民間航空条約によって当該航空機の登録国が運航の安全確保に責任を負うことになっていますから、何かトラブルがあった場合には日本が責任を負うことになります。このため、航空機の到着、出発の際に検査が行われますし条約などで定める証明書などの書類を検閲する権利も与えられています。これを「ランプ・インスペクション」といい、国交省によって行われています。
以上はLCCであっても大手航空会社であっても変わりません。安全基準は同じですから、LCCだけがことさら危険ということはないのです。
そして、もし万が一、事故が発生した場合にはどうなるのでしょうか?この場合にはモントリオール条約が適用されます。モントリオール条約では国際航空運送における航空会社の責任や損害賠償の範囲を定めています。この国際条約によると、死亡または主外の際の賠償限度の下限が11万3100SDR(約1600万円)に設定しており、上限はありません。ただし、中にはモントリオール条約に加盟していない国のLCCもあります。これについては各LCCの運送約款をチェックしてください。
LCCのパイロットはどうやって選ばれてるの?
LCCはここ10年で急成長をしています。航空会社数も増えていますし、就航数も便数も大幅に拡張を続けています。この勢いは今後も止まらないと考えており、LCCでも優秀なパイロットの獲得は重要な位置を占めています。
では、LCCではどうやってパイロットを採用しているのでしょうか?これは大手航空会社と大きく変わりありません。必要な資格と経験を有している者を採用し専門の派遣会社を通して派遣契約をしたり、他社のパイロットを引き抜いたりしています。LCCではパイロットを育てているコストは割けないということで即戦力となったパイロットを求めています。大手航空会社のように航空大学を卒業したばかりの未経験者を採用し養成するといったことは、まずありません。
しかし苦労して獲得したパイロットが勤務条件のよい他社に移られては困ります。パイロットがいなければ、飛行機は絶対に飛ばすことができないからです。ですからLCCではコスト削減第一と言われていますがパイロットの勤務条件だけは例外的な項目となっています。給与、勤務条件については大手航空会社と変らない高待遇となっています。アメリカのサウスウェスト航空などでは大手航空会社よりも高い水準に設定することで、必要な人材を確保しているのです。
ただし、パイロットの不足が深刻化しているのは事実です。パイロットは誰でもなれる仕事ではありませんから、そもそもの母数がそれほど多くありません。それに加えてLCCの増加で需要は増大しており自国だけではなく隣国にまで採用告知を出している航空会社も存在しているのが実情です。今後もパイロットの獲得はLCCにとって課題となり続けるのです。