飛行機事故でよく耳にするのが「ブラックボックス」という単語です。
ブラックボックスと聞くと、飛行機事故の原因究明には欠かせないもので、
非常に頑丈に作られているというイメージではないでしょうか。
では、ブラックボックスとは何なのか、そしてどれだけ頑丈なのか
詳細に見てみましょう。
■ブラックボックスの中身
ブラックボックスの中身は主に2つあります。
1つはコックピット・ボイスレコーダーで、もう1つは飛行データ記録装置です。
ボイスレコーダーはコックピット内でのクルーがどのような会話をしているのか、
管制機関とのやり取りなどを記録したものです。
もし飛行機が墜落などの事故を起こした場合には、
その直前の音声も記録されるので、事故直前の状況を知る手掛かりとなります。
また飛行データ記録装置は、一般的にフライトレコーダーと呼ばれていて
飛行機の高度、速度、機首方位、垂直加速度、経過時間など
フライト時のデータをほぼすべて記録しています。
これらボイスレコーダーとフライトレコーダーの両方を解析することで、
事故前の飛行状況を詳細に解明することができるのです。
■不足データが追加されている
近年、従来のデータだけでは原因解明には不十分とされており、
飛行機の姿勢やエンジンの状況など、19種類の新たなデータの記録が
フライトデータとして義務付けられることになりました。
それに加えて60種類以上ものデータがデジタルで記録されています。
これはフライトレコーダーがバージョンアップしたもので、
デジタル飛行データ記録装置と呼ばれています。
■どのような事故でも壊れないように設計
ボイスレコーダーとデジタル飛行データ記録装置の入っている
ブラックボックスは、どのような事故が起こっても破壊されないよう
頑丈に設計されています。
耐熱、耐衝撃構造になっていて、1000度の高温で30分間
熱せられても壊れません。
更に、1トンの衝撃にも耐えることができるという、驚異的な堅牢さです。
いくら頑丈でも可能な限り衝撃から逃すため、比較的衝撃が小さいとされる
客室後部の天井裏や後部貨物室付近に装着されています。
■発見しやすいように色も工夫している
事故が起こると現場は部品や荷物などが散乱しており、無惨な状況になります。
そのような現場において、ブラックボックスはできるだけ見つけやすいように
色も目立つ「オレンジ色」をしています。
加えて強い衝撃を受けたり、海水などに浸かっても30日間にわたって
位置情報を知らせる信号を発し続ける設計になっています。
事故が起こるとブラックボックスをできるだけ早く回収するために、
工夫が凝らされていると言えるでしょう。
■兎に角、頑丈
ブラックボックスは飛行機の重要な情報が詰まっていますので、
兎に角、想像もできないほど頑丈に作られています。
このブラックボックスがあるからこそ、事故原因が解明され
再発防止に役立てられているのです。
これからも更なる情報が追加されるなどして、データの精度は
より高まって行く事でしょう。