シンガポールのチャンギ空港は民間企業ではありますが実は政府そのものです。
世界トップオペレーターと言われるのもダイレクトに政治が直結しているからです。
チャンギ空港は政府が100%出資するファンドの子会社なので国の意向がそのまま反映されます。
例えば日本の航空局は霞が関にあります。
空港や航空会社が航空局に用事がある場合には霞が関まで足を運ばなくてはいけません。
一方、チャンギ空港では空港内にシンガポール政府の航空局があります。
航空局の目が空港の隅々まで行き渡ることで、現在の高い評価へつながっているのです。
チャンギ空港はこの世界一の空港経営ノウハウを世界に輸出しはじめています。
もちろん人気の理由はチャンギ航空の豪華な施設にもありますが
その人気の下支えをしているのが洗練されたサービス力にあります。
例えばスタッフの教育についてです。
チャンギ空港では従業員用の廊下に従業員の顔写真が貼られています。
これは利用者からの評価が高かった職員の写真で、毎週表彰が行われます。
年間トップに輝いた職員は大きなポスターで顔写真が張り出されて評価されます。
自分たちのサービスが目に見える形で評価されることでスタッフ同士が切磋琢磨するという形です。
この評価が行われるシステムも面白いです。
チャンギ空港ではいたるところにタッチパネルが設置されています。
例えばトイレでは出入り口の壁にトイレの感想が投稿できるタッチパネルがあります。
トイレを使ったあとに、5段階でトイレの使用感を評価できます。
空港の利用者はサービスに満足した時、不満に思った時にその場で評価がくだせます。
そしてその持ち場を担当している従業員の評価に直結し、ボーナスに反映されます。
これはチャンギ空港が始めたシステムですが、同様の評価システムは世界の空港に広まりつつあります。
例えばイギリスのヒースロー空港でも同様のシステムを導入しています。
スタッフからすれば良い仕事をすればするほど評価されて報酬が上がるので働く意欲が高まります。
これが結果としてサービス向上に役立つというわけです。
チャンギ空港のホスタビリティが凄いのは、空港のサイネージについても同様です。
初めてチャンギ空港を利用するいろいろな国の人が迷いなく目的の場所にたどり着けるように
アイコンは文字が読めなくてもわかりやすくシンプルになっており、誰に尋ねること無くストレスなく空港内を歩けるように工夫されています。
日本のサイネージは親切丁寧に様々な言語で表記されていますが
余計にごちゃごちゃしてしまいわかりにくくなっている側面があります。
シンプルに徹することで余計な情報に惑わされる必要が無いというのは逆転の発想ではないでしょうか。